

浄土真宗本願寺派の仏事 -お墓に関すること-
お墓を建てるときに気をつけることは
お墓は、亡くなられた人が普段いるような場所ではなく、先にお浄土に往かれた人をしのびつつ、遺された私たちが、仏さまとのご縁をいただくところです。
お墓について、明確な決まりがあるわけではありませんが、縦長の和型の場合、正面に「南無阿弥陀仏」のお名号を刻まれるのがよいでしょう。洋型のお墓ですと「南無阿弥陀仏」では文字が多すぎますので、阿弥陀さまの徳をたたえた呼び名である「無量寿」「無碍光」「無量光」、あるいは、お浄土でふたたび会うという意味の「倶会一処」とするのはいかがでしょう。
墓相ということを気にされる方がおられますが、墓相という考えは仏教にはありません。お墓の位置も向きも、お参りしやすいことを考慮してお決めください。
卒塔婆は必要か
卒塔婆あるいは塔婆というものは、浄土真宗では扱いませんので、お墓を建立される際、塔婆立ても不要です。
塔婆は、他宗において、故人のための追善供養として用いられますが、浄土真宗では、阿弥陀さまの本願のお力によってお浄土に参らせていただき、仏と成らせていただきます。仏と成られた方のために、私たちが善行をふり向けることは必要ないので、塔婆を用いることはないのです。
また、水子供養という考えがありますが、阿弥陀さまは「一切の生きとし生けるものを必ず救いとる」と誓われた仏さまです。子供と大人のいのちを区別して、仏さまと成られたあとまで立場を分けることもありませんから、地蔵尊を建立する必要もありません。
分骨はどうすればよいのか
お釈迦様が亡くなられたあと、お釈迦様のご遺骨は、インド各地に分骨され、ご遺骨を納める仏舎利塔が建てられました。最終的には8万カ所以上の場所に分骨されたとも言われています。
浄土真宗においては、親鸞聖人の墓所である、京都の大谷本廟に分骨して納める方がいらっしゃいます。先に往生された方が親鸞聖人の教えをいただくご縁を私にくださった、という遺徳をしのぶうえにも、大谷本廟への分骨をお考えになってはいかがでしょう。
分骨は、必ずしなければならないものではありませんし、分骨は故人の身を裂く行為であると思われる方もおられるでしょう。しかし往生された方の遺骨を通して、より多くの人が仏さまとのご縁に遇うことができるとという意味から、選択肢のひとつとしてお考えいただいてどうでしょう。